禁煙する。煙草、サヨウナラ・・・僕は今でも君の事が好きだよ。
禁煙をする。
今の箱が無くなったら。
後数時間でお別れだ。
だから君がいる間に君への想いを書いておくことにするよ。
僕は君のことが好きだよ。
ずっとずっと好きだったよ、そしてたぶんこれからも。
でもこのまま一緒にいちゃだめなんだ、
このまま一緒にいたらお互い不幸になっちゃう。
だから、別れなきゃいけないんだ。
なんて、
本当のところは吸っている理由が無くなっていることに気づいたから。
僕が煙草を吸い始めた理由はキャラ作りのためだ、
僕は普通にしているとガリ勉タイプに見えた、真面目で堅物に見えた、
そして質の悪いことに実際勉強も出来た、
ただし、勉強が出来たのは生まれつき頭が良かったからで真面目に勉強をしていたからでは無い、むしろ勉強なんて全くしていなかった。
実際の僕は怠惰で不真面目でいい加減な人間だ、
にも関わらずガリ勉扱いされることが不愉快でならなかった。
そこで煙草だ、
まあ煙草を吸ったところで不良には見えないんだが、
少なくとも真面目でも堅物でもなくなった。
当初ここまでの効果で思惑通りだったのだが、思わぬ副次効果として、
え?何で?そういう風に見えないけど、実は裏ではヤバいの?
的な効果が付加されて見事インテリヤクザ風のポジションを獲得できた。
これが非常に居心地がよく、気付くと普通に喫煙者になっていた。
という様な話は枚挙に暇がなく、
若いうちはずっと自分の居心地のいい人間関係構築に煙草はとても有用な小道具として機能し続けてきた、
煙草を吸っている自分と言う演出のお陰で得たものは数知れない、
実際はそれが無くても違うきっかけで同じ結果を生んでいたのかもしれないが、
それでも、僕は煙草のお陰だと思っている。
まあ、そんなこんなで、
それほど若くもなくなった今である。
まず、若い頃の煙草を吸っている自分と、若くもない今の煙草を吸っている自分、
では明らかに演出できる自分の質が違って来ている、
要するに単に煙草を吸っているおっさんという演出になりつつあるのだ、
これには意味が無い、その演出によって得たいものは特にない。
逆に新しい演出方針を考えるなら、若い頃は吸っていたが今は禁煙している自分、という演出でいける気がする。
そして最も重要な事は、僕はいま日々全く人と接しない暮らしをしている、
要するに家で一人で煙草を吸っているだけだ、という事だ。
何の演出にもならない、誰に対する演出なのか、全く意味がない。
そう、気づいた、これ、吸ってる理由が無くなってるな、と。
だから、
大好きだったし、今でも好きだけど、もう終わりにしようと思う。
本当に本当に感謝しているし、君と過ごした日々のことは忘れない。
だけど、これから先、どこかで君を見かけても僕は見ないフリをするよ、
さようなら、ありがとう、
今まで君がいてくれて本当に良かった。