繊細な企業努力に気が付かない無粋。
気づかいとは相手に気が付いてもらいたくてするものではないと思う、しかし気づかいをされていることに全く気が付かないのは無粋ではないだろうか。
他部署にも関わらずいつもさり気ない気づかいをしてくれる総務部のあの子には何かのタイミングで、いつもありがとう、と声を掛けるべきだ、それが出来る部長だ。
ところで僕はスパゲティの茹で時間を忘れるタイプの部長である。
さあ茹でようか、という段になって、あれ?何分茹でるんだったかなと、一度閉めた棚からスパゲティの袋を取り出し、茹で時間を確認、袋をしまい再び棚を締め、さあ茹でようかに戻る。
本当は部長ですらないので、ただ単にスパゲティの茹で時間を忘れる男だ。
これを毎回、あーもう、と思いながらやっていたのだが、昨日とんでもないことに気が付いた、なんとスパゲティを100gずつ束ねてある帯に茹で時間が書いてあるのだ。
この帯はいつも茹で始める直前に取っている、そのタイミングで茹で時間が確認できるのだ。わざわざ袋を見直す必要などない。なんという気づかいか。
にも関わらず僕はいつもこの帯を無造作に捨て、あーもうまた茹で時間忘れたよ、と言いながら確認するため棚を開けていた。部長に昇進しない訳である。
毎回さり気なく帯に茹で時間を書いてくれていた総務部のあの子も「あ・・・。」と思っていたに違いない。
改めて書いておくと、帯に茹で時間が書いてあるのはマ・マーのスパゲティだ、マ・マーのスパゲティ以外がこうなっているのかは知らない。もしかすると他のスパゲティも全てそうなのかもしれないが知らないので、ここではマ・マーのスパゲティはすごいということにしておく。
さらに念のため書いておくと帯に茹で時間を書いているのは総務部のあの子ではない、そんな子は存在しない、実際にはマ・マーマカロニ株式会社の製造部のあの子が書いている。いつもありがとう、と言いたい。